後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
「危険です」「大人しくしときましょう」「王妃様にもできる事は無いって言われましたよね」
必死に説得し、時に涙目で懇願してくるユリアをかいくぐり、レイラは自分の望みを叶えるために頑張った。
まずはサントスへの協力要請。
これは比較的簡単だった。
基本的に「自身のやりたいことをやるべし」という考えの一族だから、一見無茶苦茶にしか見えないレイラの希望「戦場に医療従事者としての参加」も、まあ、出来るならやってみたら、てな感じで後押ししてくれたのだ。
妹可愛いの精神が多大に働いたことは否定できないが・・・・・。
そうして見つけた潜り込む先は、王軍所属の医師の助手だった。
サントスの店の常連客だという医師は、「サントスの遠い親戚で薬草学の妹弟子」という触れ込みに驚きながらも喜んで雇ってくれた。
なんでも、もともと居た助手が「戦場に行くなんて危険なことはできない」と急遽やめてしまい、困っていたらしい。
恰幅のいい腹を揺らしながら、快く契約のサインを書いてくれた。
ちなみに、後宮住みの側妃であることは内緒である。
バレたら卒倒間違いなしだろう。
次いで、王妃の説得。
こちらもこっそり突撃のうえ人払いしてもらい、切々と訴えた。
「自分の手で探し出せるとは思っていない。さすがに戦闘地帯の密林の中を行軍はできないし、仮に見つけたとしても私では運ぶことも出来ないから完全にお荷物になるのは分かってる」
「だけど、せめて少しでも近くにいたい」
「幸いにも私には後方支援できるだけの医療と薬草の知識があるから、国境に行ってもきっと役に立てる」
「なんなら、かわいそうなお姫様の奮闘とでもなんでも利用してくれていい。私を行かせてほしい」
不敬を承知で、反論の隙を与えないように勢いのまま言葉を重ねる。
どんどん感情の波に呑まれて言葉が崩れていくけれど、レイラにはもう止める事ができなかった。
思い浮かぶのは、最後に言葉を交わした時のマリオンの穏やかな笑顔。
「そもそも、あんな危険なところに行くことになった最たる原因は私にあるのに、1人だけ安全な場所にいるなんてできない。……私たちの未来の為にマリオンが頑張っているというなら、私だって何かしたいの!しなくちゃいけないの!!」
レイラの勢いに飲まれるように訴えを聞いていた王妃は、最後の叫びにハッと顔をゆがめた。
レイラの頬をボロボロと涙が伝う。
だけど、けして逸らされない視線の強さに、王妃は一つため息を吐いた。
責任を感じているのだろう。
マリオンを死地に追い込んでしまったと後悔しているのかもしれない。
なによりも、愛する人を失うかもしれない恐怖に、レイラはじっとしていられないのだ。
(この子は幼い)
母として子供たちを見守ってきた経験が、そう告げていた。
必死に説得し、時に涙目で懇願してくるユリアをかいくぐり、レイラは自分の望みを叶えるために頑張った。
まずはサントスへの協力要請。
これは比較的簡単だった。
基本的に「自身のやりたいことをやるべし」という考えの一族だから、一見無茶苦茶にしか見えないレイラの希望「戦場に医療従事者としての参加」も、まあ、出来るならやってみたら、てな感じで後押ししてくれたのだ。
妹可愛いの精神が多大に働いたことは否定できないが・・・・・。
そうして見つけた潜り込む先は、王軍所属の医師の助手だった。
サントスの店の常連客だという医師は、「サントスの遠い親戚で薬草学の妹弟子」という触れ込みに驚きながらも喜んで雇ってくれた。
なんでも、もともと居た助手が「戦場に行くなんて危険なことはできない」と急遽やめてしまい、困っていたらしい。
恰幅のいい腹を揺らしながら、快く契約のサインを書いてくれた。
ちなみに、後宮住みの側妃であることは内緒である。
バレたら卒倒間違いなしだろう。
次いで、王妃の説得。
こちらもこっそり突撃のうえ人払いしてもらい、切々と訴えた。
「自分の手で探し出せるとは思っていない。さすがに戦闘地帯の密林の中を行軍はできないし、仮に見つけたとしても私では運ぶことも出来ないから完全にお荷物になるのは分かってる」
「だけど、せめて少しでも近くにいたい」
「幸いにも私には後方支援できるだけの医療と薬草の知識があるから、国境に行ってもきっと役に立てる」
「なんなら、かわいそうなお姫様の奮闘とでもなんでも利用してくれていい。私を行かせてほしい」
不敬を承知で、反論の隙を与えないように勢いのまま言葉を重ねる。
どんどん感情の波に呑まれて言葉が崩れていくけれど、レイラにはもう止める事ができなかった。
思い浮かぶのは、最後に言葉を交わした時のマリオンの穏やかな笑顔。
「そもそも、あんな危険なところに行くことになった最たる原因は私にあるのに、1人だけ安全な場所にいるなんてできない。……私たちの未来の為にマリオンが頑張っているというなら、私だって何かしたいの!しなくちゃいけないの!!」
レイラの勢いに飲まれるように訴えを聞いていた王妃は、最後の叫びにハッと顔をゆがめた。
レイラの頬をボロボロと涙が伝う。
だけど、けして逸らされない視線の強さに、王妃は一つため息を吐いた。
責任を感じているのだろう。
マリオンを死地に追い込んでしまったと後悔しているのかもしれない。
なによりも、愛する人を失うかもしれない恐怖に、レイラはじっとしていられないのだ。
(この子は幼い)
母として子供たちを見守ってきた経験が、そう告げていた。