御曹司様はもふもふ好きのペットシッターに運命を感じました
次の土曜日に久城邸に行くと庭で湊さんがアレクセイにフリスビーをキャッチさせていた。上手にキャッチをしては湊さんのところへ走って行く様子を少し離れたところで眺めていた。
「おい、アレク。どこに向かってる?」
湊さんがアレクセイの動きを見て声を上げる。湊さんの元に戻る途中だったはずのアレクセイが私に気がつき、フリスビーをくわえたまま私の元にやってきてしまった。嬉しそうに私に駆け寄ってくれるアレクセイが可愛くて仕方ない。
「アレクセイ。ちゃんと湊さんのところに戻らないとダメじゃない」
アレクセイに声をかけ、湊さんのところへフリスビーを持って行くように指示するより先に湊さんが私のところにやって来た。
「こんにちは、杏奈さん」
最上級の笑顔で見つめられ、胸がドキドキと大きく鳴った。でも、これは恋なんかじゃない。近所のお兄さんに憧れているようなものなんだから。
「こんにちは。アレクセイと遊んでいたんですね」
必死に気持ちを隠して私も笑顔で応える。
「こうしてアレクと遊ぶのは久しぶりだったけど楽しかったよ。この後は散歩に行くんだよね?」
湊さんに優しい声音で確認されて視線を合わせていられなくなり、とっさにアレクセイと目線を合わせるようにしゃがんでしまった。
「アレクセイはお散歩に行きたい?」
「ワン!」と元気な返事が聞けたため、「リードを取りに行ってきます」とこの場を離れた。