銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした
初めての朝、動き出す世界
【エリーゼ視点】
国境の夜が明け、私たちは再び馬車を進めていた。
昨夜、レオンに前世のすべてを打ち明けたからだろうか。今朝の太陽は、いつもよりずっと優しく、私の肌を温めてくれているように感じられた。
「エリーゼ、体調は悪くないか? 昨夜はあまり眠れなかったようだが」
御者台から振り返ったレオンが、銀色の耳を心配そうにピクリと動かす。その琥珀色の瞳に見つめられると、昨夜彼に手を握られた時の、あのドギマギとした感覚が蘇ってきて、急に顔が熱くなった。
「ぜ、全然平気よ! むしろ、すっごく元気!」
慌てて手を振る私に、レオンは少し不思議そうな顔をしたが、すぐに「それならいい」と口元を綻ばせた。その柔らかな笑みを見るだけで、胸の奥がトクンと跳ねる。
(私、本当にレオンの隣にいるんだ……)
前世の私が夢にまで見た「自由な旅」。その記念すべき最初の目的地が、もう目の前に迫っていた。
「見えてきたぞ。あれが自由交易都市『リベルタ』だ」
レオンの言葉に導かれて馬車の窓から身を乗り出すと、そこには国境を越えた先にある、巨大な城壁に囲まれた街が広がっていた。王国の、あの格式張って息苦しい街並みとは違う。赤や黄色のカラフルな屋根がひしめき合い、遠くからでも商人たちの活気ある呼び声や、嗅いだことのないスパイスの香りが風に乗って漂ってくる。
「すごい……! 本当に、別の国に来たのね!」
私は思わず歓声をあげた。
原作の小説では、ヒロインとジュリアン王子が王宮の庭園で愛を語り合っている頃、悪役令嬢だった私はこんなにも広くて、エネルギーに満ちた世界に足を踏み入れている。
破滅の未来なんて、ここにはカケラもない。私の新しい人生が、今、本格的に動き出そうとしていた。
国境の夜が明け、私たちは再び馬車を進めていた。
昨夜、レオンに前世のすべてを打ち明けたからだろうか。今朝の太陽は、いつもよりずっと優しく、私の肌を温めてくれているように感じられた。
「エリーゼ、体調は悪くないか? 昨夜はあまり眠れなかったようだが」
御者台から振り返ったレオンが、銀色の耳を心配そうにピクリと動かす。その琥珀色の瞳に見つめられると、昨夜彼に手を握られた時の、あのドギマギとした感覚が蘇ってきて、急に顔が熱くなった。
「ぜ、全然平気よ! むしろ、すっごく元気!」
慌てて手を振る私に、レオンは少し不思議そうな顔をしたが、すぐに「それならいい」と口元を綻ばせた。その柔らかな笑みを見るだけで、胸の奥がトクンと跳ねる。
(私、本当にレオンの隣にいるんだ……)
前世の私が夢にまで見た「自由な旅」。その記念すべき最初の目的地が、もう目の前に迫っていた。
「見えてきたぞ。あれが自由交易都市『リベルタ』だ」
レオンの言葉に導かれて馬車の窓から身を乗り出すと、そこには国境を越えた先にある、巨大な城壁に囲まれた街が広がっていた。王国の、あの格式張って息苦しい街並みとは違う。赤や黄色のカラフルな屋根がひしめき合い、遠くからでも商人たちの活気ある呼び声や、嗅いだことのないスパイスの香りが風に乗って漂ってくる。
「すごい……! 本当に、別の国に来たのね!」
私は思わず歓声をあげた。
原作の小説では、ヒロインとジュリアン王子が王宮の庭園で愛を語り合っている頃、悪役令嬢だった私はこんなにも広くて、エネルギーに満ちた世界に足を踏み入れている。
破滅の未来なんて、ここにはカケラもない。私の新しい人生が、今、本格的に動き出そうとしていた。