銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした
【レオン視点】
馬車を街の辻馬車留めに預け、俺たちは『リベルタ』の雑踏へと繰り出した。
行き交う人々は、人間、獣人、エルフ、ドワーフと実に様々だ。王国の排他的な空気とは違い、ここでは誰もが己の力と商才だけで生きている。
「わあ、レオン! 見て、あの果物、見たこともない形をしてる! こっちの出店のお菓子も凄くいい匂い!」
エリーゼはまるでおもちゃ箱に飛び込んだ子供のように、目をキラキラと輝かせて歩いていく。
その無防備な姿は、この治安の入り混じった交易都市では少し危なっかしい。案の定、大荷物を抱えたドワーフの商人が、前方からエリーゼに気づかずに向かってきていた。
「エリーゼ、危ない」
俺は咄嗟に彼女の細い肩を引き寄せ、自分の胸元へと抱き込んだ。
ガサゴソとドワーフが通り過ぎていく。
「あ……ご、ごめんなさい。周りが見えなくなっちゃって」
俺の胸に顔を埋める形になったエリーゼが、 蚊の鳴くような声で呟いた。
見上げれば、彼女の白い頬が、林檎のように真っ赤に染まっている。その至近距離にある潤んだ瞳と、柔らかい身体の感触に、俺の心臓もドクンと大きく跳ね上がった。
(いけない、これでは俺が理性を失いそうだ……)
彼女を驚かせないよう、ゆっくりと手を離す。だが、人混みで彼女を見失うわけにはいかない。
「……はぐれると困る。その、手、ではなく、服の袖でも掴んでいてくれ」
本当は、その小さな手を握りつぶさないような強さで、優しく繋いでしまいたかった。だが、まだ俺たちは「旅の相棒」だ。自分の獣としての独占欲を必死に抑え込み、ぶっきらぼうに袖を差し出す。
「うん……ありがとう、レオン」
エリーゼは少しはにかみながら、俺の上着の袖をきゅっと小さな手で掴んだ。
ただそれだけのことなのに、掴まれた袖の先から、熱が身体中に伝わっていくような気がした。
馬車を街の辻馬車留めに預け、俺たちは『リベルタ』の雑踏へと繰り出した。
行き交う人々は、人間、獣人、エルフ、ドワーフと実に様々だ。王国の排他的な空気とは違い、ここでは誰もが己の力と商才だけで生きている。
「わあ、レオン! 見て、あの果物、見たこともない形をしてる! こっちの出店のお菓子も凄くいい匂い!」
エリーゼはまるでおもちゃ箱に飛び込んだ子供のように、目をキラキラと輝かせて歩いていく。
その無防備な姿は、この治安の入り混じった交易都市では少し危なっかしい。案の定、大荷物を抱えたドワーフの商人が、前方からエリーゼに気づかずに向かってきていた。
「エリーゼ、危ない」
俺は咄嗟に彼女の細い肩を引き寄せ、自分の胸元へと抱き込んだ。
ガサゴソとドワーフが通り過ぎていく。
「あ……ご、ごめんなさい。周りが見えなくなっちゃって」
俺の胸に顔を埋める形になったエリーゼが、 蚊の鳴くような声で呟いた。
見上げれば、彼女の白い頬が、林檎のように真っ赤に染まっている。その至近距離にある潤んだ瞳と、柔らかい身体の感触に、俺の心臓もドクンと大きく跳ね上がった。
(いけない、これでは俺が理性を失いそうだ……)
彼女を驚かせないよう、ゆっくりと手を離す。だが、人混みで彼女を見失うわけにはいかない。
「……はぐれると困る。その、手、ではなく、服の袖でも掴んでいてくれ」
本当は、その小さな手を握りつぶさないような強さで、優しく繋いでしまいたかった。だが、まだ俺たちは「旅の相棒」だ。自分の獣としての独占欲を必死に抑え込み、ぶっきらぼうに袖を差し出す。
「うん……ありがとう、レオン」
エリーゼは少しはにかみながら、俺の上着の袖をきゅっと小さな手で掴んだ。
ただそれだけのことなのに、掴まれた袖の先から、熱が身体中に伝わっていくような気がした。