三つの部屋と隠しもの(「スイッチゲーム」より抜粋・掌編)
「三つの部屋と隠しもの」
 
1
「もしも、よく考えた上でだけど、引き受けてくれるなら、今度は僕とタッグマッチかもしれないよ」
 
 そんなふうにサーシャはマナミに告げた。
 既にマナミは二度までのコロッセオのゲームをこなしている。一般には三ゲーム一セットとされることが多いのだそうだ。だから彼女からすればあと一回のゲーム勝負をこなせば、勝ってボーナス報酬を得ようが、負けて凌辱され(大ケガしたり殺されたりする?)ようが「ゲームセット」で身柄は解放となる(既に二回勝利して追加ボーナス報酬は悪くない額だし、セットマッチでの出場そのもので奨学金の支払いは半分免除されている条件だった)。
 
「あなたも参加するわけ?」
「うん。だけど、この話はちょっと特殊なんだ。ゲームの内容は前の学校のに似ているんだけれど、今度はスイッチを守る側。それだけじゃなくって国際政治が絡んでるし、危険も大きい」
 
 神妙な顔で説明するサーシャにマナミは怪訝な顔で問いかける。そうしたらサーシャがぶっ飛んだ、異次元空間のような単語を引っ張り出してきた。
 
「守るのは、ミサイルの発射スイッチなんだ」
 
 
2
 これは廃校スイッチよりも単純なくらいの「隠しもの」ゲームです。今回は運の要素も強く、腕力を必要とする暴力で争う要素はほぼありません。
 ビジネスホテルの三つの部屋があります。その中に十二個のスイッチの印が付いた小さい箱があるので、攻略側は好きな任意の二部屋を開放して探してください。ただしスイッチ箱は防衛側が隠してあり、探す制限時間は一時間です。
 最後に見つけた箱を開けてください。中に入っているカードで判定されます。
 
 これもコロッセオ(の運営)の場合によくある「非対称型」のゲームだ。つまり対戦する双方のやるべき事や目的が違うのである(スイッチゲームの攻防戦はたいていがそうなのである)。スポーツ競技などでは球技や格闘技でもだいたいが対象型で「敵味方が正反対の方向で同じことを目的にする」ことが多いが、部分部分ではサッカーのスローインやフリーキックなどは「非対称型」と言えるかもしれない。
 また、このゲームは即興的なものでもあるだろう。恒例となっているタイプのゲームはセオリーが確立してしまう面もあるため、その時々で条件を選択して変えたり、参加者双方を無知にするために即興で案出されるような場合もある。今回の場合には扱うものがもの(ミサイル)なので、運営者側の心理でわざわざ前哨戦の時点で気を遣ったのかも知れない。
 
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