三つの部屋と隠しもの(「スイッチゲーム」より抜粋・掌編)
3
「こんなのでミサイル発射しちゃうわけ?」
 
 怪訝な顔をするマナミにサーシャは頭を振った。
 
「これは予選みたいなもの、かな。僕たち以外の人たちも、同じゲームをやってて、それでミサイルの数や種類を決めるんだって」
「へえ」
「だけど良かったよ。ケガする危険が全然ないようなゲームで。これでマナミも残りのゲームはごく軽いので良いみたいだし、ちょうど良かったんじゃないかな?」
 
 考えが短絡的すぎた。ミサイル発射にダイレクトに関わるようなゲームに、まさか不慣れで特別優秀でもないマナミのような人間を誘うとは思われない。もしそうだとしても、わざと一定ランク以下の素人助手を使う場合に限られるはずだった。
 とはいえ、これでマナミ個人の三戦目はデスゲームまがいのハードなものではなく、比較的にリスクや危険や負担の少ない種目になる(ゲームを半分だけでもこなしたと見做されるから?)。とてもありがたいことだし、これまでに助けて貰ったのだから、多少なりとも役に立ちたい。
 ルールを告げられて一時間後から、先に防衛側が小箱を隠す時間が一時間与えられ、それから攻略側の捜し物スタートとなる。
 どうにかして敵方に不利になるような方法はないだろうかと、隠し時間の開始まで二人で知恵を絞った。
 
 
4
 小箱のサイズは十五センチ平方で厚みは十センチくらいある。いくら隠しても隠しきれるものではない。むしろ「全部をはっけんされない」「獲得個数を減らす」ことを考えるべきだった。
 まず、小箱を三部屋にどう分けるかを考える。一部屋にまとめておいておき、探索側がその一部屋を開けなければ最善ではある。しかし三部屋中の二部屋を開けて調べるのだから、自爆になる確率の方が高いだろう。むしろ一部屋をゼロにして二部屋にまとめておいた方が良い。
 それから隠し方だが、二部屋に全く同じ隠し方をしたのでは、片方がばれればもう片方もばれてしまう(あたり部屋のどちらかと空の部屋を開ける可能性が高いから、あまり考える必要がないかも知れないが)。そもそも箱のサイズ的にそうそう上手く隠せるものではなかった。
 
「トイレのタンクとか?」
「ベッドの下、いや、布団やマットレスの間だとか?」
 
 そのときにマナミは悪魔的に酷いことを考えついた。
 
「マットレスの中は?」
 
 二人でベッドのマットレスを動かして、裏側から穴を開ける。不自然さが目立たないように詰め物を抜き、箱を二つ詰めてから何事もなかったかのように元に戻す。
 
 さらに天井の通気口口をあけることができたので、そちらにも詰め込む。それからトイレのタンクと便器の中。クローゼットの上とベッドの枕の下(布団でも巧みに隠す)。
 そしてわざとソファの上に置いて、見つかる程度にクッションを乗せる。あえてソファの中に隠さなかったのは、大本命のベッドマットの中身に思い至らせないためのミスリードであった。そのためにわざとベッド台の下にも一つだけ隠し込んでおいた。
 ここまでやったお陰なのか、探索攻略する側の獲得した箱の数は、当初の期待を下回ったのだとか。物事は不可能に見えても、考えれば案外に手の打ちようや工夫の余地はあるもののようだ。
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