隣人はイケメン上司でした〜手から好きになってもいいですか?〜
ベランダでご挨拶

洗濯機の止まる音が鳴った。

テレビを見ていた一ノ瀬遙華(いちのせはるか)は立ち上がり、洗濯物を抱えてベランダのドアを開けた。

季節は6月、東京は梅雨入りしているが今日と明日は晴れの予報で遙華は仕事から帰り、洗濯物を回したのだ。

大学進学と同時に上京し、広告代理店に就職して3年目の24歳。

春から新部署の営業部に営業事務として今は働いている。

入社した時からハードな部署だと聞いていたが噂はその通りで、前の総務課は遅くても19時には帰宅できていたが、今は19時に帰れればラッキー

もちろんお得意様の要望に応えるのが代理店だが今の時期、天気と緊張でやや疲れ気味…

洗濯物をベランダに干していると空室のはずの左隣の部屋から煙が見えた。

誰もいないはずなのに煙?か、火事?

遙華は隣のベランダから少し身を乗り出しひょいと覗いた。

「えっ?」

遙華が声を出したのでベランダに立っていた人は振り向いた。

「こんばんは」

と挨拶をしてきた人は右手に持っていた紙煙草の灰を左手に持っていた灰皿にトントンと落としていた。

「あっ、煙草の煙でしたか」

「これ?」

右手の煙草を遙華に見せた。

「はい、空室のはずなのに煙が見えたので…すみません、覗いてしまって」

遙華は軽くお辞儀をして離れ、残りの洗濯物を干し始めたのだ。
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