恋の練習のはずが、若手社長の溺愛に蕩かされています~声フェチ女子は断れない~
 郁の言葉を聞いた玲音が目を見張る。予想外だった、という顔だ。

「……そうなのか。声だけでそう読み取ってくれた人は、初めてだな」

 感嘆の声で言われて郁はやっと自覚した。

 これは自分が声好きという特性を持つから受け取れたのだろう。

 今さら恥ずかしくなった。

 その郁に玲音がもう少し身を寄せ、寄り添う位置になる。

「俺は……拗ねた響きの声が好きなんだ。特に女性がそう言うと、とてもかわいらしく感じる。ときめく、というかな」

 玲音が話を切り出した。

 秘密を打ち明けるような言い方……いや、事実、その通りだろう。

 郁は玲音の顔を見つめながら、目を真ん丸にしてしまう。

 どきん、と心臓が跳ねた。

 玲音が今までこういう言い方をしていた理由を悟る。

「でも意地悪や無茶を言わなければ聞けないだろう。失礼だから、他人にはなかなかできなくて……だけどその反応がなければ物足りなくて……」

 話す玲音は気まずげだった。

 郁を見つめる表情や目も、苦笑と気恥ずかしさが混じったものだ。

 郁は吸い寄せられたように、目が離せなくなった。
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