恋の練習のはずが、若手社長の溺愛に蕩かされています~声フェチ女子は断れない~
 自分だけに打ち明けてくれる。

 おまけに体が触れているから、彼が言葉を発する体のわずかな動きすら感じ取れる。

 すべてが郁に特別な喜びを与えた。

「恋人と長続きしなかったのは、その理由だ。郁の『声好き』を『変わってる』なんて言えなかった。ごめん」

 玲音は最後にまた謝る。

 エレベーターでの事件があった日、確かに玲音はそう言った。

 でもきっとあれも、この好みの理由からだったのだ。

 今、理解できた郁はかえって納得した。

「私は好きですよ。玲音さんの声だけじゃなく……言い方も」

 だから返答は、するっと出た。

 少しはにかんだけれど、笑みも浮かんだ。

「ありがとう」

 玲音は郁の返答にほっとしたようだ。頬が緩んだ。

「でも声と言い方だけか?」

 だけどまた混ぜ返すものだから、郁の気恥ずかしさも復活した。

 しかも聞かれている内容が直球だ。

 今度は頬が熱くなった。
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