恋の練習のはずが、若手社長の溺愛に蕩かされています~声フェチ女子は断れない~
「もう……。今のはずるいです」

 答えてから気付いた。

 また拗ねたことを言ってしまった。

 しかも肯定するような内容だった。

 ますます恥じ入った郁だったが、玲音は両方を嬉しく受け取ったらしい。

 ふわりと幸せそうに笑った。

「本当にかわいい。こんな反応、俺以外に見せたくないな」

 郁の反応に対していつもそうするように、愛おしそうな声で断言した。

 そして郁の腰を引き寄せる。

 引かれるままに、玲音と向き合う位置になった。

 目の前に来た玲音の胸元に、郁は自然と手を添えていた。

「そ……そんなこと、あり得ませんよ」

 はにかみながらも返答する。

 近くなった距離も、言われる愛情からの言葉も……すべてに胸が高鳴った。

 もちろん今まで通り、声も特別だった。

 でも今の郁には距離と言葉のほうが重要だった。

 その気持ちで本当に理解する。

 自分は彼の声だけでなく、彼のすべてを好きになったのだ、と。
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