スパダリの溺愛はスーツを着崩すように
「映画見るか?」
「見たいです」

映画を見るためにさっき離れて座っていた彩乃が隣にいる。

それだけで意識した。

始まって数分、内容がほとんど入ってこない。

ふと、気づいたら俺から手を繋いでいた。

彩乃は赤い頬を赤く染めていた。


自然といつの間にか指を絡めて恋人繋ぎをしていた。


近い…いつもの彩乃のフローラルな香水の匂いがした。
前に抱きしめたときもこの香りが俺を癒やした。


映画がエンドロールが流れる頃に俺は愛おしさが我慢できなくなった。


彩乃をそっと抱きしめる。
そっと抱きしめ返してくれる彩乃…。


俺は恋人のフリなんて最初から思ってないのにな。
いつまでフリが続くのだろうか…だが絶対離す気はない。


夕飯は一緒にパスタを作った。


「おいしいです」
「よかった」


すると彩乃が「なんだか、本当の恋人みたいですね」


俺は嬉しさとまだ恋人のフリだという現実の切なさが同時にこみ上げた。


「すみません、変なこと言って」


「俺も同じこと考え…いやなんでもない」


まだ彩乃は俺のこと好きじゃないよな。
俺は毎日ここに彩乃が居たらいいなと思っていた。
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