スパダリの溺愛はスーツを着崩すように
休憩に入ると一宮くんが飲み物をくれた。

「ありがとう」

隣に座って一宮くんも休憩した。

一宮くんと話していると、すると少し離れたところに黒澤社長と目があった。

けれど黒澤社長はすぐ目を逸らして取引先との会話に戻っていった。

……なんだろう……一瞬だけこっちを見ていたような…。


展示会が終わって。

「高崎先輩お疲れ様でした!」
「一宮くん、お疲れ様!」


「高崎先輩、ご褒美ください」


「え?」


「俺今日かなり頑張ったと思うんですけど」


「自分で言う?ふふ!」 


「高崎先輩、ご飯付き合ってください」


ふと黒澤社長との恋人のフリを思い出した。
一宮くんは後輩だしご飯くらいいいよね。


お店に着いて。

「高崎先輩、ちゃんと俺のことも見ててくれて助かりました」

「そりゃ一緒に仕事してるんだから見るよ」

「嬉しかったです」

「なんで?」

「いや…その…それより黒澤社長とは順調なんですか?」

「え!?」

びっくりしてビールを吹き出しそうになった。

「あの日親しく見えたんで」

「そんなことないよ」

「ふっ!顔赤いですよ?」

「赤くない」

「……本当に好きなんですね、黒澤社長のこと…まあ、いいです」

「何が?」


「俺まだ後輩ですから、俺のこともちゃんと男として見てくださいね」


「先輩をからかわないの!」


「からかってないですよ」


いつもと同じ人懐っこい笑顔だった。
でも今日の一宮くんは可愛い後輩とは少し違って見えた。
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