スパダリの溺愛はスーツを着崩すように
休憩スペースに行くと。

「昨日一緒に食事出来て嬉しかったです!」
「私も楽しかったよ」

一宮くんは一瞬黙った。

「一宮くん?」

まっすぐな瞳で見つめられて思わず息を呑んだ。


「俺、高崎先輩が好きです」


「…え?」


一宮くんの眼差しから冗談ではないよね…。
戸惑いながら髪を耳にかけた。
その時。
一宮くんの視線が私の首元で止まった。


「……高崎先輩、その首…」


はっとして、私は慌てて隠したけれどもう遅かった。


一宮くんは寂しそうに微笑んだ。


「……黒澤社長ですか?」


一宮くんにはバレバレみたい。
私は頷く。


「…分かってましたよ、高崎先輩、黒澤社長を見るときだけ表情違うし、それにさっきの首元の痕見たらさすがに分かりますよ」


「黒澤社長のことが好きなんですよね?」


その言葉に私はふと、気付かされた。
好き…?
私が、黒澤社長を…?
脳裏に浮かんだのは黒澤社長の姿…緩められたネクタイ。
私を包みこんだ腕。


あの腕の中にもう一度戻りたい…そんなことを思ってしまった。
私はやっぱり…。


「一宮くん…気持ちを伝えてくれてありがとう………でも…ごめんなさい」


一宮くんは少しだけ目を伏せた。


「やっぱり、そうですよね」


切ない笑顔を向けられた。


「幸せになってください」


「…ありがとう」


恋人のフリ…?
そんなの私にはもう無くて…私は黒澤社長が好き…。
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