スパダリの溺愛はスーツを着崩すように
「……私、黒澤社長が好きです!」


黒澤社長の瞳がわずかに見開かれた。


「恋人のフリじゃなくて、本当の恋人になりたいです」


言ってしまった。
心臓が痛いほど鳴ってる。


「…彩乃」

「はい…」


「今の言葉もう一度聞かせてくれないか?」


「え?」


「もう一度聞きたい」


いつもの黒澤社長じゃないみたい。


「…黒澤社長が好きです」


黒澤社長は嬉しそうに目を細めた。


「俺も、ずっと前から彩乃が好きだ」


「ずっと?」


「初めて会った面接の日からずっと気になってた」


「そんな前から?」


「彩乃が夢中でKUROSAWAの話をする姿が忘れられなかった」


「彩乃、これからは本当の恋人として側にいてくれないか?彩乃、大好きだよ、俺と付き合って」


「私も遼さんの側に居たいです」


遼さんは嬉しそうに微笑む。


「彩乃…」


名前を呼ばれた瞬間私は遼さんの腕の中にいた。


「嬉しい…ずっとこの言葉を聞きたかった」


私も遼さんの背中に腕を回した。


「私も嬉しいです…」


本当の恋人になれたんだ。
私は嬉しくて満面の笑みを浮かべた。


「かわいいな」


頬に指先が触れる。
目を閉じると優しく唇が重なった。
何度も触れたことのある唇なのに、今日は違って感じた。
もう恋人のフリじゃない、本当の恋人のキス。
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