四神と都の剣
「いただきます」

朱雀は味噌汁に口をつけた。出汁のうまみと食材のうまみが口の中で混ざり合う。朱雀の頰が緩んだ。

(毎日きっちりご飯食べるなんて、人間だと思ってた頃もしてなかったからな。何だか不思議)

その時、朱雀の耳につけられたままのニュースの音声が入り込む。

『昨日未明、骸喰山で登山中の三十代男性が行方不明となっています。骸喰山では今月に入ってから行方不明者が相次いでおりーーー』

骸喰山は、この神社から車で三十分ほど離れた場所にある。標高は高くないのだが、ルートによっては高低差が激しい箇所や岩場をよじ登る必要があり、登山素人も玄人も楽しめる山として知られている。

「行方不明者、今月でもう六人目だよ。ただの事故とは思えないけど……」

沙月が口を開く。妖怪たちも「怖いね」や「妖怪の仕業かな?」と口々に言った。葉月が箸を置く。

「一度、妖怪か幽霊の仕業かと思って見に行った」

「えっ?そうなの?」

「ずるいぞ葉月!抜け駆けしたな!」

沙月が驚き、ひとめが講義の声を上げる。ひとめを無視して葉月は続けた。

「悪霊や妖怪の類はいなかった。ただ……」

葉月が言葉を濁す。その表情から少しずつ血の気が引いていった。玄武が水をコップに入れ、葉月に渡した。
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