王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「お願いしてもいいかしら?」
「はい、すぐに連絡いたします」
「それから、明後日は聖堂に向かいます。メルケルの診察を受けたのであれば、きっと歩いてもいいと言うと思うのよね」
 エメリーネの言葉には、確信があった。
 オディロンに家庭教師を紹介してもらおうとしたところ、アルマスの邪魔が入った。そこでオディロンがベルトルトに会うよう伝えたのは、暗に彼に教育係を相談しろという意味なのだ。
 ゆっくりとソファから立ち上がったエメリーネは、執務席へと移動した。朝のうちに式武官からもらった目録と、今、アルマスがもってきた残りの目録。
 足の怪我が治ったら、念のため、現品との突き合わせも行おう。
 アルマスが王妃の令状の写しを持ってくるまで、エメリーネは目録に視線を走らせた。
(なるほどね……アルマス派の人間は、宝飾類が多いわね。それに引き換え……)
 やはり、もう少し味方となる人間が欲しいところだ。
 エメリーネの赤い瞳には強い決意が輝く。

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