王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 だからこそ今、エメリーネに教育を施してくれる人物が必要なのだ。
「お父様。足もよくなったし、聖堂に祈りにいってまいります」
 エメリーネは国王の執務室を訪れ、穏やかな声で告げた。父王の隣には、いつものようにアルマスが控えている。彼のオーラは今日も灰色だったが、父王のオーラは依然として見えない。
 聖堂に足を運ぶのは、エメリーネの昔からの習慣だ。それにテレジア教と王族の深い結びつきを考えれば、それを駄目だと言う者などいない。
「シーラ、行きましょう」
 動きやすい簡素なドレスに身をつつむエメリーネについていくのはシーラだけ。エメリーネがどこに行くにも彼女が同行する。たまに、モラン伯爵夫人が付き添ってくれるが、それはシーラの代わりが必要となったとき。
 エメリーネは王城の裏門につけられた馬車に乗り込んだ。こうやって馬車に揺られて外に出るのはいつ以来だろうか。ここ数日はパーティーの準備に追われていた気がする。
「聖堂へ向かうのも久しぶりですね」
 シーラがそう言葉にするくらいなのだから、やはりここ一か月くらいは行っていないのだろう。
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