王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「そうだな、だからなおさら違和感が残るというか……ただ、陛下と同じように一気に老け込んだ――」
そこまで言いかけたオディロンは、はっとした様子で口をつぐんだ。
「オディロン、先ほどからわたくしは言っているでしょう? 言いたいことがあるならはっきり言ってください」
エメリーネがぴしゃりと言ってのけると、オディロンは気まずそうに顔をしかめる。それでも彼に訴えるような視線を投げ続けると、オディロンは観念したかのように口を開く。
「君は、王妃殿下が亡くなったときの様子を覚えているか?」
「お母様の?」
やさしくて聡明だった母だが、ある日をきっかけに日に日に体調を崩すようになった。最初は手足が痺れると言い始め、歩けばふらつき、倒れやすくなる。そのうち、動くのも億劫になって寝たきりになってしまい、約一年前、静かに息を引き取った。
「えぇ。少しずつ元気がなくなり、しまいには動けなくなりました」
「元気がなくなった……今の陛下はどうだ?」
「それは……」
アルマスが父王にも毒を盛っていた未来を知っているだけに、エメリーネは言葉を選ぶ。父王が亡くなるのは今から三年後だが、じわじわと毒によって身体が蝕まれていたのは事実である。
そこまで言いかけたオディロンは、はっとした様子で口をつぐんだ。
「オディロン、先ほどからわたくしは言っているでしょう? 言いたいことがあるならはっきり言ってください」
エメリーネがぴしゃりと言ってのけると、オディロンは気まずそうに顔をしかめる。それでも彼に訴えるような視線を投げ続けると、オディロンは観念したかのように口を開く。
「君は、王妃殿下が亡くなったときの様子を覚えているか?」
「お母様の?」
やさしくて聡明だった母だが、ある日をきっかけに日に日に体調を崩すようになった。最初は手足が痺れると言い始め、歩けばふらつき、倒れやすくなる。そのうち、動くのも億劫になって寝たきりになってしまい、約一年前、静かに息を引き取った。
「えぇ。少しずつ元気がなくなり、しまいには動けなくなりました」
「元気がなくなった……今の陛下はどうだ?」
「それは……」
アルマスが父王にも毒を盛っていた未来を知っているだけに、エメリーネは言葉を選ぶ。父王が亡くなるのは今から三年後だが、じわじわと毒によって身体が蝕まれていたのは事実である。