王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「も、申し訳ありません」
 アルマスは忌々しく舌打ちをすると、空いている手で机の上をトントントンと叩き始めた。
 何もかもうまくいかないのはオディロンのせいである。あのままリマンドの街にいればよかったものの、蛮族を捕まえた彼は、部下たちよりも一足先に王都へと戻ってきて、エメリーネの誕生日パーティーに姿を現した。そしてアルマスより先に、エメリーネにダンスを申し込んだ。
 今、思い出しても腹立たしい。なんとかしてオディロンをこの舞台から引きずり下ろしたい。そうしなければ、エメリーネは彼から悪知恵を吹き込まれてしまう。
 彼女がアルマスに意見を言うようになったのも、オディロンが背後で操っているからだ。
(だから、お礼状を書くと言い出したり、茶会を開いたり……)
 だがそれくらいならまだ問題はない。所詮、女性の集まりで女性同士の繋がりだからだ。男性が爵位を継ぐこの国では、女性の地位は男性と比較して低い。とはいえ、王族だけは別とされ、女王も認められている。
(女が王になるなど……)
 許されるわけがない。
(王にふさわしいのは、この私……)
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