王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 これも学ぶことの重要性の一つなのだ、というのがテレジア神の教えでもある。
「同士が、自ら考え行動することは喜ばしいですね」
 衝立の向こうで、ベルトルトが微笑んだのがわかった。彼はエメリーネが行動に移しているのを、心から喜んでいる。
 前の人生でさえも、彼らは「力を貸すので、王女として毅然とした態度を取ってほしい」と、何度も言っていた。それでもエメリーネが選んだのは、この国をオディロンに託すことだった。
 世の中には必要悪という言葉がある。エメリーネという悪を討ち取ろうとする気持ちが、民を一つにすることを狙っていたのだ。だから悪女エメリーネは必要とされる悪だったし、エメリーネ自身もそれを受け入れた。ベルトルトたちが、エメリーネが悪になるのを止めようとしても、決してその意志を曲げることはなかった。
 だから、自ら命を絶ったのだ。
「では、もう一人のテレジア神と代わります」
 ベルトルトの含みを持たせた言い方に、エメリーネの胸は期待で高鳴った。先ほどよりもドキドキと激しく音を立てている。
「世間知らずの王女様は、少しは世間を知るようになったのか?」
 久しぶりに声を交わしたというのに、オディロンは相変わらずである。
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