王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 またハーブティーには体内から老廃物の排出を促してくれるものもある。今までの父王の具合を見れば、何かしら身体の中に悪いものがとどまっているのは明確であった。
「エメリーネが淹れるお茶は、格別に美味しいな」
 いつもどこか陰っていたその笑顔も、今は心からのものに変わっている。まるで、母が生きていたときのような、その笑顔。
 父王は愛する者を失ったがため、心にぽっかり穴が空いてしまった。その穴を狙ったのがアルマスであり、彼はまた父王の心に穴を空けた張本人でもある。
 王妃を失えば国王は腑抜けになると、わかっていたのだろう。
 つい数日前、エメリーネは告解室で粗野なテレジア神から報告を受けた。
『まず、陛下が飲んでいた茶葉だが……』
 オディロンがそこで躊躇いを見せたのは、きっとエメリーネの気持ちを考えてのことだろう。事実を告げたところで、心に傷を負わないか。
『やはり、毒でも混ぜられていたのかしら?』
 エメリーネが言葉の先を奪えば、小さな窓の向こうで彼が息を呑んだのがわかった。
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