王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
ベルトルトのものではないその声に、エメリーネの鼓動は乱れた。小さな窓の向こうには、ベルトルトがいると思っていたのだ。まさか、いきなりオディロンだとは誰も思わないだろう。
「そうなのですね……では、粗野なテレジア神にお伝えします」
「それは、君なりの冗談なのか?」
「あなたがわたくしを世間知らずと言うのと一緒ですね」
エメリーネくすっと笑みをこぼせば、向こうからは呆れたようなため息が聞こえた。
「今の君は、世間知らずではない」
「今のあなたは、粗野ではありませんよ?」
くだらないやりとりであるが、オディロンと言葉を交わすこの時間は、ささやかな幸せで満たされた。
それよりも、とエメリーネは声色を落とす。
「お父様が、わたくしの相手として、オディロン、あなたのことを認めたわ。あとは議会の承認を得られればいいのだけれど……」
そこまで言いかけ、エメリーネの言葉尻はすぼんでいく。
議会に参加するような人間は、アルマスの息のかかった者たち。彼らがエメリーネの相手にオディロンを選ぶとは思えないのだ。
「そうなのですね……では、粗野なテレジア神にお伝えします」
「それは、君なりの冗談なのか?」
「あなたがわたくしを世間知らずと言うのと一緒ですね」
エメリーネくすっと笑みをこぼせば、向こうからは呆れたようなため息が聞こえた。
「今の君は、世間知らずではない」
「今のあなたは、粗野ではありませんよ?」
くだらないやりとりであるが、オディロンと言葉を交わすこの時間は、ささやかな幸せで満たされた。
それよりも、とエメリーネは声色を落とす。
「お父様が、わたくしの相手として、オディロン、あなたのことを認めたわ。あとは議会の承認を得られればいいのだけれど……」
そこまで言いかけ、エメリーネの言葉尻はすぼんでいく。
議会に参加するような人間は、アルマスの息のかかった者たち。彼らがエメリーネの相手にオディロンを選ぶとは思えないのだ。