王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「そうだな……久しぶりに行ってみるか……」
 エメリーネは頬をゆるめ、心の中で小さく喜んだ。

 夕方になり、エメリーネは国王と共に馬車に乗り込み、聖堂へと向かった。二人で中に入り、石像の前で並んで跪く。
 父と聖堂へ来たのはいつ以来だろうか。こうやって肩を並べて祈りを捧げるだけだが、ずっと臥せっていた国王にとっては大進歩である。
「お父様。わたくしは告解室でテレジア神とお話をしますが、お父様もいかがですか?」
 父もできるだけ他の人と言葉を交わしたほうがいい。アルマスの息のかかった者たちは、自分にとって都合のいいことしか言わない。
「テレジア神はきっと、お母様の話を聞きたいと思います」
 一年前のエメリーネも、何度も母との思い出を語ったものだ。それを否定せずに、すべてを受け入れてくれたのが、ベルトルトたち。
「エメリーネの言うとおりだ。私もテレジア神と話をしよう」
 告解室へと向かう父の背に、エメリーネもほっと胸をなでおろす。そして父王の隣の部屋へと、足を向けた。
「今日は、いつものテレジア神は忙しいらしい」
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