王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
(陛下は、エメリーネ王女の相手にふさわしいと思う者は名乗りをあげろと言っていたが……)
 そこでアルマスが名乗りをあげれば、わざとらしいだろう。
 これは駆け引きなのだ。
(となれば……エメリーネ王女ができるだけ他の男性とも交流を持てるようなパーティーを開けば……)
 考え事をすると口寂しくなり、ついついお茶を飲んでしまう。しかもこのお茶は、他のお茶と違って甘ったるくなく、刺激的な味。
「コンスト、おかわりを淹れろ」
 コンストは黙ってアルマスの指示に従い、もう一杯、お茶を淹れる。
 腹立たしさに満ちているアルマスと同じ空間にいるコンストとヨハンは、近くに控えているだけ。
 コンコンコンコン――。
「宰相閣下、エメリーネ王女の補佐官をお貸しいただけますか?」
 ゆっくり茶を味わっていたアルマスの至福の時間を邪魔しに来たのは、エメリーネの補佐官。女性補佐官を望んでいたエメリーネは、たまたま軍を辞めた小娘に声をかけたらしい。きっと、手の空いている女性はいないかと、聞いて回ったにちがいない。そしてそこにたまたまいたのが、あのエリナという小娘なのだ。
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