王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 ヨハン・オウネルはシーラの婚約者であり、オウネル侯爵家の次男だ。結婚後は、ラモン伯爵家へ婿養子として迎えられる予定となっている。
 ラモン伯爵にはシーラを含めて三人の子どもがいるが、全員が娘であった。
 この国では王位継承権は性別を問わずに与えられるが、爵位は男性のみが継ぐと定められている。だから息子のいないラモン伯爵家では娘婿に爵位を継がせるか、あるいは養子を迎えてその者に継がせるしかない。
「オウネル侯爵家では、宰相閣下から援助を受けていたようで……」
 それをシーラはあのパーティーの場で、こっそりと打ち明けられたようだ。
 だが、エメリーネの中で点と点が繋がったような気がした。
 間接的に、シーラもアルマスの魔の手に囚われていたのだ。
「返済時期は五年後だったというのに、ここにきて急に返せと言われたようで」
「それは……金銭的な援助ということでいいのかしら?」
 シーラは小さく頷いた。
< 69 / 154 >

この作品をシェア

pagetop