王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
きっとそのとき、オディロンがエメリーネに吹き込んだに違いない。贈り物への礼状を送ることを。
社交界デビューを果たしたエメリーネにとって、初めての執務となるはずだったそれを、彼女に教える者は誰もいなかったはずだ。
アルマスは時期を見計らい、彼女に代わって「遅れたお詫び」と共にお礼状を送る計画だった。
だからエメリーネが自ら宝物庫に赴き、贈り物の目録を求めたのは完全に想定外だった。
こんな知恵をつけたのは、間違いなくオディロンだ。
ラモン伯爵の娘が仕組んだとは思えない。彼女は自分の立場をわきまえているはずだし、少し脅しておいたから問題ない。
そのため、アルマスの怒りは、ますますオディロンに向けられた。
「閣下」
突然、執務室の扉が勢いよく開き、秘書官が慌てた様子で駆け込んできた。
「なんだ、騒々しい」
「ベルジュ公爵が……」
アルマスの苛立ちは頂点に達した。
バキッ――!
秘書官からの報告を聞いたアルマスだが、腹立たしさのあまり握りしめていたペンが折れた。真っ黒なインクが指を汚し、書類の上に滴り落ちる。
社交界デビューを果たしたエメリーネにとって、初めての執務となるはずだったそれを、彼女に教える者は誰もいなかったはずだ。
アルマスは時期を見計らい、彼女に代わって「遅れたお詫び」と共にお礼状を送る計画だった。
だからエメリーネが自ら宝物庫に赴き、贈り物の目録を求めたのは完全に想定外だった。
こんな知恵をつけたのは、間違いなくオディロンだ。
ラモン伯爵の娘が仕組んだとは思えない。彼女は自分の立場をわきまえているはずだし、少し脅しておいたから問題ない。
そのため、アルマスの怒りは、ますますオディロンに向けられた。
「閣下」
突然、執務室の扉が勢いよく開き、秘書官が慌てた様子で駆け込んできた。
「なんだ、騒々しい」
「ベルジュ公爵が……」
アルマスの苛立ちは頂点に達した。
バキッ――!
秘書官からの報告を聞いたアルマスだが、腹立たしさのあまり握りしめていたペンが折れた。真っ黒なインクが指を汚し、書類の上に滴り落ちる。