王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
突然現れたのが、忌まわしきオディロン・ベルジュ公爵だった。
いや、アルマスが本当に憎いと思っているのはオディロン自身ではない。むしろその家、ベルジュ公爵家のほうだ。同じ公爵家でありながら、あちらには今も王位継承権が残っている。というのも、先代の王の妹がオディロンの祖母にあたるからだ。アルマスの家系が代々遡らねば王族に繋がらないのとはまったく違う。
そんな彼が、よりによってエメリーネに手を差し伸べるとは。
アルマスが鋭い視線を送っても、オディロンが怯むことはなかった。エメリーネにもたしなめられ、渋々引き下がった。
こうなることがわかっていたから国境のリマンドの街に蛮族を手引きし、その対応にベルジュ公爵率いる国軍第一師団を指名したというのに。彼は軍神と呼ばれる男。自ら最前線に立つのはわかっていた。
ギリギリと唇を噛みしめたアルマスは、次こそは、次こそはとタイミングを狙い続けたが、その順番が永遠に巡ってくることはなかった。
募るのはオディロンへの憎悪と、エメリーネへの執着にも似た劣情。
――どんな手を使ってでも、必ずエメリーネを自分のものにしてみせる。
オディロンに抱きかかえられ、会場を退出していくエメリーネ。その後ろ姿を、見続けることしかできなかった。
いや、アルマスが本当に憎いと思っているのはオディロン自身ではない。むしろその家、ベルジュ公爵家のほうだ。同じ公爵家でありながら、あちらには今も王位継承権が残っている。というのも、先代の王の妹がオディロンの祖母にあたるからだ。アルマスの家系が代々遡らねば王族に繋がらないのとはまったく違う。
そんな彼が、よりによってエメリーネに手を差し伸べるとは。
アルマスが鋭い視線を送っても、オディロンが怯むことはなかった。エメリーネにもたしなめられ、渋々引き下がった。
こうなることがわかっていたから国境のリマンドの街に蛮族を手引きし、その対応にベルジュ公爵率いる国軍第一師団を指名したというのに。彼は軍神と呼ばれる男。自ら最前線に立つのはわかっていた。
ギリギリと唇を噛みしめたアルマスは、次こそは、次こそはとタイミングを狙い続けたが、その順番が永遠に巡ってくることはなかった。
募るのはオディロンへの憎悪と、エメリーネへの執着にも似た劣情。
――どんな手を使ってでも、必ずエメリーネを自分のものにしてみせる。
オディロンに抱きかかえられ、会場を退出していくエメリーネ。その後ろ姿を、見続けることしかできなかった。