王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「あら、そう? だったら半分はお部屋に飾るわ。シーラ、後で運んでおいてね」
「承知しました」
 シーラも感情を押し殺したように、頭を下げた。
「それでは、私はそろそろお暇しよう」
 オディロンがソファから立ち上がり、ゆったりとした動作で上着を整えた。
 エメリーネは彼の動きをちらりと見て、わざとらしく声を上げた。
「あら、そう? わたくしも時間をもてあましていたの。だって、この足でしょう? 何もできなくて。怪我をさせたあなたが責任を取って、相手してくれてもよろしいのではなくて?」
 意図的に子どもっぽいわがままを織り交ぜた。
 オディロンの口元に一瞬、遊び心のある笑みが浮かんだが、アルマスがそれを遮るように鋭く口を挟んだ。
「エメリーネ王女。子どものようなわがままを口にして、ベルジュ公爵を困らせてはなりません」
 その口調は、まるでオディロンを追い払うかのように冷たいものだ。
「相変わらず、アルマスは厳しいのね。ベルジュ公爵、今日は足を運んでいただき、感謝いたします」
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