アンドロイド総務部員(※心の中はエセ関西弁)は、一途なチャラ男の底なし沼から抜け出せない
【第75話】
先輩の家で初めての夜を過ごしてから、私たちの距離は「恋人」という枠組みを遥かに超えて、お互いの生活そのものへと深くシンクロしていった。
「律さん、ドライヤー貸して。俺が乾かしてあげる」
「えっ……あ、あの、自分でできますっ……!」
週末、先輩の部屋の洗面所。お風呂上がりの私は、先輩の大きめのTシャツを借りて、すっかり「素」の状態で縮こまっていた。
だが、先輩は優しく笑いながら私の手からドライヤーを受け取り、温かい風を私の髪に当て始める。
大きくて、少しゴツゴツした男の人の手が、私の髪を優しく梳かしていく。その心地よさと、すぐ後ろから漂う先輩と同じシャンプーの香りに、私の脳内回路は完全に幸福感でとろけていた。
(あかん、幸せすぎて頭がどうにかなりそうや……)
(昔のウチなら『総務部の自立した女性としてセルフヘアドライを――』とか絶対言うてたのに、今のウチ、先輩に甘やかされすぎて完全に骨抜きにされとる……っ)
「はい、おしまい。……ねぇ、律さん、こっち向いて?」
ドライヤーの音が止み、振り返ると、先輩が愛おしそうに目を細めて私を見つめていた。
眼鏡を外した私の視界は少しぼやけているけれど、先輩の顔が近づいてくるのははっきりと分かった。
「……ん」
おでこに、そっと優しいキスが落とされる。
私は恥ずかしさのあまり、先輩のTシャツの胸元をぎゅっと掴み、その温かい胸にペタッと顔を埋めた。
「先輩……あの、私、もう先輩がいない生活には、ロールバック(巻き戻し)できないです……」
「ロールバックなんてさせないよ。ずっと俺の隣で、こうやって甘えてて」
そう言って私の背中を優しく抱きしめる先輩の腕の中で、私は生まれて初めて、本当の「安心」というデータを知ったのだった。
先輩の家で初めての夜を過ごしてから、私たちの距離は「恋人」という枠組みを遥かに超えて、お互いの生活そのものへと深くシンクロしていった。
「律さん、ドライヤー貸して。俺が乾かしてあげる」
「えっ……あ、あの、自分でできますっ……!」
週末、先輩の部屋の洗面所。お風呂上がりの私は、先輩の大きめのTシャツを借りて、すっかり「素」の状態で縮こまっていた。
だが、先輩は優しく笑いながら私の手からドライヤーを受け取り、温かい風を私の髪に当て始める。
大きくて、少しゴツゴツした男の人の手が、私の髪を優しく梳かしていく。その心地よさと、すぐ後ろから漂う先輩と同じシャンプーの香りに、私の脳内回路は完全に幸福感でとろけていた。
(あかん、幸せすぎて頭がどうにかなりそうや……)
(昔のウチなら『総務部の自立した女性としてセルフヘアドライを――』とか絶対言うてたのに、今のウチ、先輩に甘やかされすぎて完全に骨抜きにされとる……っ)
「はい、おしまい。……ねぇ、律さん、こっち向いて?」
ドライヤーの音が止み、振り返ると、先輩が愛おしそうに目を細めて私を見つめていた。
眼鏡を外した私の視界は少しぼやけているけれど、先輩の顔が近づいてくるのははっきりと分かった。
「……ん」
おでこに、そっと優しいキスが落とされる。
私は恥ずかしさのあまり、先輩のTシャツの胸元をぎゅっと掴み、その温かい胸にペタッと顔を埋めた。
「先輩……あの、私、もう先輩がいない生活には、ロールバック(巻き戻し)できないです……」
「ロールバックなんてさせないよ。ずっと俺の隣で、こうやって甘えてて」
そう言って私の背中を優しく抱きしめる先輩の腕の中で、私は生まれて初めて、本当の「安心」というデータを知ったのだった。