アンドロイド総務部員(※心の中はエセ関西弁)は、一途なチャラ男の底なし沼から抜け出せない
【第78話】氷室視点
季節は巡り、冬。俺たちはついに、二人で選んだ新しいマンションでの生活をスタートさせていた。
「ただいま、律さん」
「あ、先輩、おかえりなさい!」
パタパタとスリッパを響かせて玄関まで走ってきた律さんは、会社でのサックスブルーの制服姿とは打って変わって、もこもこの大きな部屋着に身を包んでいた。
俺の顔を見た瞬間、そのパッと華やぐような、100%の素直な笑顔。
「寒かったですよね? すぐにお風呂沸きますから。あと、夕飯は先輩の好きなハンバーグにしました!」
「ありがとう。……ねぇ、律さん、その前にまず『充電』させて」
「ひゃいっ……!?」
玄関先で律さんの華奢な身体を正面からぎゅっと抱きしめると、彼女は可愛らしい声を上げて、すぐに俺の背中に手を回してぎゅっと抱きしめ返してくれた。
毎日、家に帰れば世界で一番好きな子が待っていて、自分だけにその「素」の全部を預けてくれる。これ以上の幸せなんて、この世のどこを探しても存在しない。
「先輩……あったかいです。私、今日も会社で先輩の姿を見るたび、早くお家に帰りたくて……ずっとウズウズしてました」
「俺も。営業回り中、律さんのことばっかり考えてた」
リビングへ移動し、新調した「少し小さめのソファ」に二人で並んで座る。
ぴったりと肩を寄せ合い、一本の毛布を二人でひざ掛けにしながら、俺たちはこれからの未来について、夜が更けるまで甘い言葉を交わし続けた。
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