偽装結婚の相手は疑い深い脳外科医でした
「楽しみにしてるドラマが始まるじゃない。うっかりしてた。ごめん、一時間私のことは放っておいて」
彩子はそう言うや否やリビングに駆け込み、リモコンを手にテレビの前に腰を下ろした。
同時に最近話題のミステリードラマが始まり、彩子が食い入るように見ているのが、動きひとつない背中からわかる。
「俺の話よりドラマ……後で配信で見ればいいだろ」
一瞬ぽかんとしていた遥人が、我に返ったようにつぶやいている。
――彩子さんらしい。
自分の気持ちに素直に動けるところも彼女の魅力のひとつ。見ているだけで楽しくて、つい笑い声を漏らした。
遥人からチラリと目を向けられて、咲良は気まずさをごまかすように視線を泳がせた。
「スイートポテト、おかわりどうですか? 彩子さんの大好物だから、あ、知ってますよね。だからたくさん作っていて」
「いや、いい」
場の空気を変えようとした咲良に、遥人は思いの外強い声音で答えた。
あっという間に完食していたのに、実は口に合わなかったのだろうか。
重い空気に耐えられず彩子を見るも、相変わらずドラマに夢中だ。
あと一時間、遥人とふたりで耐えられるだろうか。
そっと視線を向けると、遥人は軽くうつむきなにやら考え込んでいる。
「ちょっといいか?」
「はい?」
顔を向けた途端、神妙な表情を浮かべる遥人と目が合った。
「な、なんですか?」
その瞳の強さにたじろいで、思わず口ごもる。
すると遥人はその場ですっと姿勢を正した。
今度はなにを言われるのだろう。
咲良が椅子の上で後ずさりし、警戒したと同時に。
「俺と結婚しないか?」
理解不能な言葉をかけられて、咲良はしばらくの間、ぽかんとしていた。
彩子はそう言うや否やリビングに駆け込み、リモコンを手にテレビの前に腰を下ろした。
同時に最近話題のミステリードラマが始まり、彩子が食い入るように見ているのが、動きひとつない背中からわかる。
「俺の話よりドラマ……後で配信で見ればいいだろ」
一瞬ぽかんとしていた遥人が、我に返ったようにつぶやいている。
――彩子さんらしい。
自分の気持ちに素直に動けるところも彼女の魅力のひとつ。見ているだけで楽しくて、つい笑い声を漏らした。
遥人からチラリと目を向けられて、咲良は気まずさをごまかすように視線を泳がせた。
「スイートポテト、おかわりどうですか? 彩子さんの大好物だから、あ、知ってますよね。だからたくさん作っていて」
「いや、いい」
場の空気を変えようとした咲良に、遥人は思いの外強い声音で答えた。
あっという間に完食していたのに、実は口に合わなかったのだろうか。
重い空気に耐えられず彩子を見るも、相変わらずドラマに夢中だ。
あと一時間、遥人とふたりで耐えられるだろうか。
そっと視線を向けると、遥人は軽くうつむきなにやら考え込んでいる。
「ちょっといいか?」
「はい?」
顔を向けた途端、神妙な表情を浮かべる遥人と目が合った。
「な、なんですか?」
その瞳の強さにたじろいで、思わず口ごもる。
すると遥人はその場ですっと姿勢を正した。
今度はなにを言われるのだろう。
咲良が椅子の上で後ずさりし、警戒したと同時に。
「俺と結婚しないか?」
理解不能な言葉をかけられて、咲良はしばらくの間、ぽかんとしていた。


