魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
<面接試験>
2月の空は鈍色で重い。
その空の下、大学構内の大きな銀杏の並木を受験生たちが、身をかがめるように急ぎ足で帰っていくのが見える。
昨日が学科試験、今日の面接試験が終わったので、取りあえず肩の荷が下りたところだろう。
雨かみぞれか、今にも垂れこめる空から落ちてきそうだ。
「漆原先生、申し訳ありませんね。急なお願いをして」
中年のふくよかな女性、児童心理の専門家である樫崎教授が教室に入って来た。
漆原先生と呼ばれた男。
高級ツイードで身を固めた、すきのない長身のイギリス風紳士が、窓の側で振り向いた。
「樫崎先生、私は面接官をするのは、今回が初めてなので、勝手がわからないのですが・・」
そう言いつつ、余裕のある穏やかな笑顔を見せた。
「ええ、漆原先生にはご負担をおかけしませんわ。
これからの面接は、帰国子女枠の生徒で一人だけですから、私の方でやりますよ。
ですので、漆原先生は隣にいていただければ、問題はありません」
樫崎先生は笑みを浮かべ、ソプラノでさえずる小鳥のように会話をする。
「それでは面接会場にご案内します。
矢原先生が、昼過ぎに発熱をして帰宅なさったけど、インフルかコロナだと、当分来られませんものね」
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