魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
いらついたのか、ペットボトルをグルシアに投げつけたが、直前でペットボトルは軌道を変えて床に落ちて転がった。

グルシアが床のペットボトルを踏みつけると、カシャっと乾燥した音を立てつぶれた。

「今の自分の立場をよく考えろ。
ここでは君の魔力は発動できない。さっきも言ったが、魔力はガス欠だしな。
君は普通のニンゲンと同じだ」

「ふん・・・」

魔女はそっぽを向いて、反抗的な姿勢を続けている。

「このまま何も飲まず、食べず放置されたら、その体は弱り、じわじわと死に向かう。
君がそれを望むなら、それでもいいが」

グルシアは、追及の手を緩めない。

「くふふふふっ」

突然、魔女は不敵な笑いを上げた。

「おいおい、そんな面倒くさいことをしなくても、アンタのその剣で一気にとどめを刺せるだろう?」

魔女はベッドの上であぐらをかくと、腕組みをした。

「天使長様が直々に尋問とは、アタシも偉くなったもんだ」

悪魔や魔女の挑発は、自分の力が上だと、相手に思わせることが重要なのだ。

相手をひるませ、その隙をついて有利に運ぶ戦略。

「そうだな。本音を言えば面倒くさい・・」

あいつが百合の魔女を観察したいと余計な事を言ったから、仕事が増えてしまった。

グルシアはサリエルの笑顔を思い出して、苦々しい想いで舌打ちをした。

「だから??」

魔女はうれしそうに、先を促した。
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