魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
可憐な女子高生という姿が、そもそも魔女らしくない!

おまけに「百合の花」だし。

グルシアは、そのギャップにイラつき始めた。

「もう一度、言うが、今の君の体はニンゲン仕様だ。喉の渇きや餓えは相当に苦しいぞ。
それだけではない。私の判断で、すぐに岩や海に封印することもできる」

魔界の連中は口では強がっていても、痛みや苦痛にめっぽう弱いことを、経験から理解をしていた。

「徐々に弱っていく・・が、その苦しさは、耐え難いものだろう」

魔女は鼻にしわを寄せて、床にグシャグシャになって転がるペットボトルを睨み付けていた。

「フン、蛇の生殺しってやつか。天使もあくどい奴だぜ」

「そうだな。魔界の奴らと長く付き合っていると、こちらも影響を受けてしまうのだろう」

魔女とグルシアの視線が、鋭く交錯した。

「まだ、私の質問に答えていないのだが」

グルシアが攻撃の手を緩めないのを感じ取ったのか、魔女は視線をはずした。

「腹が減った。何か食いたい。
それにアンタらの言う<ゆり?問題>は、プライベートな問題にすぎないからな。
説明してもいいが、まず空腹を満たすのが先だ」

魔女は背中を丸めて、体育座りをして顔を埋めた。

拒否の態度。

その小さな背中を見て、「一時休戦もありか」グルシアも判断した。

華奢な女子高生の姿・・・なぜかこちらに罪悪感を持たせるのだ。

サリエルは下級天使向けの講義で、言っていた。

「魔女は邪悪と言われるけど、その姿は魅力的に見える。

彼女たちはチャームという幻術を使うから、注意が必要だね」

惑わされてはいけない。

グルシアは側に立っていた下級天使に命じた。

「近くのコンビニで、何か食べる物を買ってきてくれ」

「デザートもだ。スィーツは絶対忘れるなよ」

魔女はくっと頭を上げて、追加事項をしっかり要求した。
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