魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
昨夜、こいつは目を潤ませ、恋人のように足を絡めて、アタシを強く抱きしめた。

あの時の感情が、体の奥から湧き出てしまう。

胸を締め付けるような、ざわざわして、持て余ます感情。

それはとろりと甘く、微かに苦い。

魔女たちはこの感情が出ると、わざと相手に嫌われるような振る舞いをする。

相手から、別れを切り出すようにしむけるのだ。

<一人に執着をすると、狩ることにためらいがでる>と、師匠はいつも言っていた。

執着とは・・・一人に愛情を持つことだが、魔界では始末書を書くレベルなのだ。

これはまずいな・・・魔女は左右に体を揺らし始めた。

黙り込んだ魔女を見て、グルシアは自分のカレッジリングを指から外し差し出した。

「これを持っていろ」

魔女は、上目使いにグルシアを見た。

「はにゃ?なんで?」

「これがあれば、他の天使は君に手を出すことができない。私の認識リングだから。
君が所有権を主張するなら、私もそうする」

この魔女については・・・自分が全責任を負うつもり。

グルシアの密かな決意だった。

魔女は、恐る恐る指輪を受け取った。

「そんじゃ徴(しるし)とか封印は、他の天使ができないってこと?」

「そういうことだ。できるのは私だけだ」

グルシアはうなずいた。

魔女は指輪を掲げて、じっくりと眺めた。

「へぇ、こうやって見ると、すごくきれいな石だね。ダイヤみたいに輝いている」

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