素のまま恋

騒ぎがおさまるまでのことを考えると、胃が痛くなりそうだぞ私は。
今でさえなんだか居心地が悪い気がしてるって言うのに。


「だってそうだろ?こんだけ大々的に言っときゃ、お前に手ェ出そうなんて思わないだろうし、悪い虫もつかねぇ。いい牽制になるぜ」


……よくもまぁ、そんな言葉をすらすらと。
その言葉が自分に言われているって分かるから……顔が熱くなってきてる気がしなくもない。


牽制(けんせい)をするほど、私はモテやしないっての。次期女将だって、旅館や学校では品よくしてるように見せてるけど、実際はずぼらでこんなんだから」

「別にいーじゃねぇか。そんなお前のことが好きだって言う男が、ここにいんだからよ。俺からモテりゃ十分だろうが」


ちげぇのかよ、なんて貴公子は聞いてくるけど、聞いたわりに顔は自信に溢れていて。


「ふふっ、違わねぇ」

「だろ?」


笑顔で返せば、貴公子も満足気に笑った。


「あ、後レッスンやめんの禁止な」

「え」


貴公子曰く、一緒の時間をなくしたくないってことらしい。
だから、回数を減らしてもレッスン通いは続きそうだ。









卒業も目前に迫り、私たちについて騒ぐ声がしだいにおさまってきた頃──



【近くの駐車場に待ち合わせな】

放課後、すでに待っていた貴公子のもとに駆け寄れば、貴公子はスマホから顔を上げた。


「詩姫」

「貴公子!聞いて欲しいことがある!」

「んだよ急に」

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