素のまま恋

スマホをポケットにしまい、ヘルメットを手にしたところで、貴公子は手を止める。


「すごくいいことがあったの!」

「わーったわーった。聞いてやるって」


あまりにも私が前のめりになって、話したいアピールをしたからか、貴公子は小さく笑った。


「今日、最後に季節をテーマに華道の授業があったんだけど、なんと!なんとー……あの堅物な先生に褒められて、更にお直しも極端に少なかったんだ!」

「へぇ、珍し。そいつは良かったな。進歩、進歩」

「そう!貴公子のおかげ。これで高校最後、華道の成績は上がってるに違いない」


はにかめば、そっと頭に手が置かれた。


「そうか……ならご褒美やるよ」

「ご褒美?」

「ああ、バイクに乗る時のお前のヘルメット、好きなの買ってやる」

「え……」


全然予想をかすめもしない答えに、つい声がもれた。


「なんでそんな微妙な顔してんだよ」

「……いや、はじめてのプレゼントってアクセサリーとかじゃないの?王道に」


ど定番といえばそうでしょ。
ネックレスとかピアスとか、まあ、穴開けてないからピアスでなくともイヤリングとか。
ヘルメット、って言われてどういうリアクションが正解なの。
バイクが趣味とかならわかるけど。


「バーカ。他のやつがやってることをあえてしねぇんだよ俺は。でもまぁ?いらないってんならしょーがねぇなー」

「い、いらないとは言ってない」

「だったら、今週の土曜。いつもの着物姿じゃなくて、私服で来いよ。教室が終わりしだい、買いに行くからな」

「お……おう」
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