素のまま恋
あんま外に長居できないと言う貴公子について行き、私はやっと花展が開かれた会場へと入ることができ、暑さから解放。
「……わぁ」
思っていた以上に広く、静か。
奥には鼓さんが話してる姿が見え、私に気付きお辞儀されたため足を止めて頭を下げた。
鼓さんと話したい人が周りに集まっているみたいだから、挨拶は後からにしておこう。
花展の会場に入ったからか、しっかりと華道界の貴公子モードらしい貴公子。
いつものきっかない笑みや不良感はなく、和装の似合うおしとやか男子と化している。
こういう時の澄ました顔は素敵なん……何考えてんだ私。花展に集中しよう。
時折、誰かと話している貴公子姿を目に入れつつかず離れず一定の距離感を保ったまま、私は一通り見て回り……鼓 椿冴の作品の前にたどり着いて足を止める。
花展があると言われてから、少しだけでも勉強しておこうと思って、貴公子の作品を検索にかけて、色々と画像だけは見てきた。
主に暗めの色使いで生けてる作品ばかりが出てきていたから、私の中ではそれをこの目で、間近で見られるものと思っていたんだけど……私の目に映るのは、暖色系の花。
鼓さんと貴公子だけ、作品スペースが大きくとられていて、そこに佇む生けられた花々。
貴公子のテーマはなんだろ、パッと見、可愛らしい印象を受けるから──
「皆森」