素のまま恋

「ん、貴公子。話はいいの?」

「よくねぇけど、めんどくせぇんだよ……。言ったろ、思ってもねぇこと言われるって」


だから逃げてきた、と貴公子は小声で言う。
鼓さんがいる手前、貴公子へ並べられる言葉はお決まりなんだろう。
心にもないことを言われていると分かっていて、笑顔を返し、その上お礼を告げなければならないんだ。嫌にも、逃げたくもなるはず。

……だから、ユニーク華道の私といる方が楽なんだろうな。


「で、お前どう思った?俺の花。テーマは分かりますか?皆森様」


う……。急に敬語とは。逆にこわい。


「そ、そうね……一応画像だけ予習?というかしてきてはいたけど。……明るい花ばっかでまず驚いた、のと……」

「のと?」

「テーマ予想は……幸せ?とか?かなぁと。……どうだ」


周りには聞こえないような声量の会話。
私の予想は中々いい線ではないかと、勝手に思い貴公子の返答を待つ。

すると、ふっ、と貴公子は笑い自分の作品に近付く。

また『バーカちげぇよ』とか言われるのかも。

いつも通りなら間違いないだろうと思っていれば、貴公子は振り返って私を見据え、


「……お前にしてはいい線いってる」


貴公子スマイルなのか、素なのか分からない自然と思える笑みが向けられた。




ドキっ──



ん?あれ……なに"ドキ"って。



まさか私が、貴公子にときめいた?

いやいや違う。
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