素のまま恋
数十分後──
悲しいことに格闘ゲームもクレーンゲームも見事に惨敗だった。
……なんだか余計ストレスがたまったような気がするけど、ゲームだから仕方のないこと。
娯楽なんだから。
「今日はこのくらいにして帰ろ」
お金だけが減り、若干不機嫌さは増したものの、誰にも邪魔されず一人の時間を過ごせるのは本当にいい。
「……どうせ、学校にいても家にいても、あまり変わらないんだから」
ひとり呟いた言葉は喧騒に紛れ、かきけされる。
「帰ろ」
来月に向けてクレーンゲームのシュミレーションをしながら歩いていれば、
その途中、少し柄の悪そうな男の子と眼鏡の優等生っぽい男の子が高架下で話しているのが遠くに見えた。
正反対な組み合わせに違和感を覚え、目を凝らせば、明らかに眼鏡の子が怯えていて……
あれって……さっきの話で出た不良?なわけ──
あ、眼鏡の子鞄取られた。
これは確定だな。
通り道、ってわけじゃないけど、おりればいいことだし、見ざるせず行った方がいいかな。
そう思い高架下の方へ足を向けるも、
『もし見かけてもむやみに近付かず、その場から離れるように。いいですね』という先ほどの先生の言葉が過る。
近付くなって言われた手前、ここは眼鏡くんには悪いけど、やはり見ざるだ。