素のまま恋
緩めた足をまた早め歩き出せば、高架下で絡まれていた男の子は角度的に見えなくなるわけで。
この後、あの男の子がいい思いをすることは全くない、はず。
……そう分かっていて、見て見ぬふりをするのはいかがなものか。
人として。
後味が悪いというか、罪悪感みたいなものが後々私にわいてくるのは想像するまでもない。
足を止め、行け、行くなという数秒の葛藤ののち……
「……あー、もう!」
軽く地団駄を踏み、私は道を引き返した。
いかつい歩き方で高架下まで行き、
「ちょっと!やめたらどうなの!」
「……あ?」
私が勢いよく声をかけると、青ざめかけていた眼鏡優等生の顔がわずかに安堵へと変わった。
幸いにも相手は一人で、うまいこと逃げればやり過ごすことが出来そう。
「……おお、おお、その制服いいとこの学校じゃねぇの」
「だから?」
「俺、ちょーっと遊びたいんだけどさ」
不良くんが完全に私に向いたその時、私は眼鏡の子に『今!』と目配せをした。
それに気付き、男の子は頭を下げて足がもつれながらも走っていく。
その足音に不良くんは後ろを確認するも、最初のターゲットはもう居ない。
だから、怒りはこの状況を作った私に向けられることとなる。
「てめえ……どうしてくれんだよ。俺は女とか気にしないんだわ。あんな男を助けて悦に浸りたかったのか知らねぇが……どうなるか分かってんだろうなぁ!」
顔を歪ませ砂利を蹴り、突進してくる不良くん。