素のまま恋
「これも綺麗な柄。ねぇどう思う?貴公子。……貴公子?」
「っは……!?」
やはりつまんないんじゃないか、ってぼうっとしていた貴公子に言ったら『……そうじゃねぇ』と顔をそらされる。
「ぶ、文化祭なら派手なのより控えめにしといた方が無難だろ。長く着るためにもな」
私の手に持つ反物はなしだと首を振る貴公子の理由に納得はいくから、もう一度選び直そうと体を翻そうとした。
「それに、寒色系の方がお前の勝ち気度も緩和される」
「なっ……!もう貴公子には聞かないっ」
納得して損した。
ふん、と顔をそらすも、貴公子はなぜか頭をかきむしりうなりだす。
……何してるんだか。
また聞いても緩和とかなんとか言いそうな気がして、畳の上に少しだけ反物をひろげて悩んでいると、
「それじゃない、こっちだ」
なんて言い出してきて。
「なんで?また勝ち気度の話?」
「ちげぇよ……。その……お前の雰囲気ならこれがいい」
……反物を指す指から顔にかけて視線をずらしていくと、顔を背け耳が赤い貴公子。
「……照れてる?」
「は!?なんで俺が照らなきゃならないん……!」
近くで目が合うなりまたそらす。
「これで決まりだ。これにしろ」
これで!と、私は何も答えてないのに決定してしまった。
決めきれてなかったから、構わないんだけど。