エリート同期は私の初恋でした
「えっ、私ですか?」

突然の一言に、思わず佐竹と顔を見合わせた。

「そう。午後から〇〇建設との打ち合わせがあるんだけど、先方から追加資料をその場で確認したいって連絡があってさ。」

高橋主任は手に持っていたファイルを私に渡す。

「櫻井には資料の説明と議事録をお願いしたい。佐竹は商談を頼む。」

「分かりました。」

「了解です。」

主任は安心したように頷く。

「二人なら大丈夫だろ。」

そう言い残し、また別の営業さんのところへ向かって行った。

「よろしく。」

佐竹が私を見て笑う。

「こちらこそ。」

三か月前なら、きっと少し緊張していただろう。

でも今は違う。

仕事を通してお互いのやり方も分かってきた。

佐竹が商談を進めやすいように、必要な資料をすぐ出せるよう準備する。

それが私の役目だ。

午前中は打ち合わせの資料を最終確認し、必要書類をファイルへまとめていく。

「櫻井、その見積書できた?」

「うん、今印刷してる。」

「ありがとう。」

短いやり取りも、すっかり息が合うようになっていた。

昼休憩を済ませると、二人で社用車へ向かう。

営業車のドアを開けながら、佐竹が言った。

「運転は俺がするよ。」

「お願いします。」

助手席へ乗り込み、シートベルトを締める。

エンジンがかかると、静かな車内にエアコンの風が流れ始めた。

「暑いね。」

「三十五度だからね。」

「外回りの人、本当に大変だ。」

「櫻井も今日は体験だね。」

そう言って佐竹が笑う。

私もつられて笑ってしまった。

会社を出た営業車は、真夏の日差しの中をゆっくりと走り出した。
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