片想いが終わる頃、恋が始まる。
世界一、遠い特等席
知ってた。
……知ってたよ。
最初から、
他の誰かをすきなことぐらい。
アイツのことをずっと
追いかけていることくらい。
だから、俺は─────
『今のままじゃ、どっちも失うよ』
「────ほんと、なにしてんだろ」
壁にもたれかかった身体から、ズルズルと力が抜けていく。
アイツのことで彼女が傷ついて。
『俺の前くらい、強がらなくていいから』
『俺なら、そんな顔、させないのに。』
『俺が、翡翠のことを一番見てる』
ほんの一瞬生まれた綻びに付け込んで。
ここぞと言うばかりに、甘い言葉を囁いて。
……彼女を自分のモノにしようとしたクセに。
アイツを視界に入れたとたん変わった表情を見たら、喉の奥まで出かかっていた"好き"
……その言葉が出てこなくなった。
それどころか。
わざわざライバルであるアイツの背を押すようなことを言って。
「はぁ………」
────今頃、あの二人はハッピーエンドになってるのかな。
気を抜けば緩んできそうな涙腺を留めるように、キツく唇を噛み締めて。
ズキズキとする胸に、必死に気づかないフリをした────……