自称『おっさん』なイケおじ上司はパソコンよりもハンドルが似合う
車は夜の街を滑るように走り続け、やがて私の自宅の近くへと差し掛かる。
心が軽くなった心地よさと、この穏やかな時間がもうすぐ終わってしまう寂しさが、同時に押し寄せてきた。
ふと頭をよぎった疑問を、私は口にしてみることにした。
「あの…失礼なことを聞いてもいいですか?」
「ん?いいよ、何が聞きたい?」
「今更ですが藤原さん、こんなことして奥さんに怒られません?」
こんなにも紳士で格好いい人だ。家に帰れば綺麗な奥さんが待っているに違いない。そう思ったのだが、帰ってきたのは予想外の反応だった。
「あははっ!」
「ふ、藤原さん、?」
「僕には妻も彼女もいないよ」
藤原さんは心底おもしろそうに、そして隠さずあっけらかんと言った。
「ええっ!?」
思わず助手席で大きな声を上げてしまう。意外すぎる。信じられない。だってこんなにも、こんなにも格好いい人なのに。
「そ、そんなわけないですよね!?嘘ですよね!?」
「本当だよ。モテないんだよね~、僕」
困ったように肩をすくめる藤原さんに、私はあんぐりと口を開けてしまう。
「え、そんなに驚く?」
「おっ、驚きますよ!!こんなにも格好良くてスマートなのに、、」
彼は、すぐにいつものように楽しそうにクスクスと笑った。
「そんなに褒めてもらえるなんて嬉しいな」
そんな言葉と共に、車がゆっくりと私の家の前に停車する。藤原さんはハザードランプをつけ、シートベルトを外す私を優しく見つめた。
「でも、男なんて簡単に勘違いする生き物だよ。褒める時は気をつけてね」
その言葉の真意は、さすがの私も問い返せなかった。
車を降りるためにドアノブに手をかけた。でも、どうしても名残惜しくて、私はほんの少しの勇気を振り絞って振り返った。
「……あの、藤原さん」
「ん?」
「もし、また私が仕事で行き詰まっちゃったら……その、また、隣に乗せてくれませんか?」
心臓がうるさいくらいに跳ねる。
藤原さんは少しだけ意外そうな顔をした。
「言ったそばから君は…」
「勘違い、じゃないです。また、藤原さんが運転してる隣に乗りたいんです」
観念したかのように、彼は今日1番のとびきり甘い笑顔を浮かべた。
「こんなおっさん相手に君も物好きだね。でも、そうだな。今度はもう少しだけ遠回りのドライブでもしようか」
「っ、はい!!お願いします!!」
明日の仕事は今日より上手くやれそうな気がする。
そんな前向きな理由と、ほんの少しの不純な動機を胸に秘めながら、私は温かい余韻の残る助手席を後にした。
心が軽くなった心地よさと、この穏やかな時間がもうすぐ終わってしまう寂しさが、同時に押し寄せてきた。
ふと頭をよぎった疑問を、私は口にしてみることにした。
「あの…失礼なことを聞いてもいいですか?」
「ん?いいよ、何が聞きたい?」
「今更ですが藤原さん、こんなことして奥さんに怒られません?」
こんなにも紳士で格好いい人だ。家に帰れば綺麗な奥さんが待っているに違いない。そう思ったのだが、帰ってきたのは予想外の反応だった。
「あははっ!」
「ふ、藤原さん、?」
「僕には妻も彼女もいないよ」
藤原さんは心底おもしろそうに、そして隠さずあっけらかんと言った。
「ええっ!?」
思わず助手席で大きな声を上げてしまう。意外すぎる。信じられない。だってこんなにも、こんなにも格好いい人なのに。
「そ、そんなわけないですよね!?嘘ですよね!?」
「本当だよ。モテないんだよね~、僕」
困ったように肩をすくめる藤原さんに、私はあんぐりと口を開けてしまう。
「え、そんなに驚く?」
「おっ、驚きますよ!!こんなにも格好良くてスマートなのに、、」
彼は、すぐにいつものように楽しそうにクスクスと笑った。
「そんなに褒めてもらえるなんて嬉しいな」
そんな言葉と共に、車がゆっくりと私の家の前に停車する。藤原さんはハザードランプをつけ、シートベルトを外す私を優しく見つめた。
「でも、男なんて簡単に勘違いする生き物だよ。褒める時は気をつけてね」
その言葉の真意は、さすがの私も問い返せなかった。
車を降りるためにドアノブに手をかけた。でも、どうしても名残惜しくて、私はほんの少しの勇気を振り絞って振り返った。
「……あの、藤原さん」
「ん?」
「もし、また私が仕事で行き詰まっちゃったら……その、また、隣に乗せてくれませんか?」
心臓がうるさいくらいに跳ねる。
藤原さんは少しだけ意外そうな顔をした。
「言ったそばから君は…」
「勘違い、じゃないです。また、藤原さんが運転してる隣に乗りたいんです」
観念したかのように、彼は今日1番のとびきり甘い笑顔を浮かべた。
「こんなおっさん相手に君も物好きだね。でも、そうだな。今度はもう少しだけ遠回りのドライブでもしようか」
「っ、はい!!お願いします!!」
明日の仕事は今日より上手くやれそうな気がする。
そんな前向きな理由と、ほんの少しの不純な動機を胸に秘めながら、私は温かい余韻の残る助手席を後にした。


