ルーチェに恋をして
第四話 秘密の領域〜ステラ寮
綺麗に整えられた庭園を後ろに、お屋敷の外階段を執事の安西と登る。
安西が扉を開けると見たことのない空間が目の前に広がった。
吹き抜けの天井にシャンデリア、大理石の床は歩くと足音が空間に響き渡る。
中央には映画に出てくるような大階段がそびえたち、上の階からドレスアップしたお姫様でもおりてきそうだった。
あぁ……ムリデス……
こんな光属性住むみたいな場所、私には無理デス……。
輝いた空間に自分の存在が霞んで消えそうだった。
今すぐ実家へ帰りたい気持ちに駆られるが、もう逃げ場はない。
諦めて前へ進むしかないのだ。
「あれ、安西?」
「これは紡様、お久しぶりにございます。」
「なんだ、僕の担当についてないからてっきりもう居ないのかと……」
薄いベージュの髪色に柔らかい目、優しく見えるその姿にシルバーフレームのメガネがとてもよく似合う。
紡と呼ばれているその青年は手に着物のような布を持っていた。
「……もしかして、僕と同じ新入生?」
「あ、え、えっと……」
人と話すことが苦手な文乃は言葉に詰まる。
そうです。と返せばいいだけなのに、同級生だと思うと余計に上手く話せなかった。
「紡様と同じく、入学された京極文乃様でございます。」
文乃の戸惑いに気づいた安西はさりげなくフォローしてくれる。
「……ふーん?京極さんはなんの才能——」
「紡様」
安西は紡の言葉を遮り、深々と頭を下げた。
「どうぞ、才能の詮索はご容赦ください。」
「……あぁ、それがステラのルールだったね。ごめんよ」
紡は申し訳ないと片手を上げて文乃に謝る。
「じゃあ僕はもういくよ、仕上げないといけないものがあるから。京極さん、またね」
そう言い残し、彼は階段の上へと去っていった。
さっきの会話の内容からステラ内でも何かルールがあるのかと悟る。