同居人がめんどくさい
今まで聞いてもらえなかった辛さを吐き出せたことで少し気持ちが楽になった。

今までは、話しても否定されるばかりで、受け止めてもらうどころか、聞いても貰えない気分にばかりなっていた。

辛く、厳しい人生は何も変わったわけではないけれど、生きていればこんな不思議な出会いもあるし、それによって少しだけ和らぐ痛みもある。

逃げ場のない苦しみの中で、少しだけこの夫婦に助けられたような、そんな気分になっている。

「本当にありがとうございました。」

そう言ってベンチを離れようとする。

すると、女性がギュッと私の手を握った。

「私たちの家にいらっしゃい!」

......ん?

一瞬、何を言われたのか分からなかった。

「ああ...へ?」

自分でも分かるくらいに間抜けな声が出る。

困惑する私に、女性が改めて言う。

「私たちの家に住んだらいいじゃない!」

最初に話しかけてきた時のような、はつらつとした声が響く。

“私たちの家に住む”????

言っている言葉はわかるけれど、意味がいまいち分からない。

「えっと...」

意味が分からず、口がもっていると、私に代わって男性が女性に質問した。

< 14 / 45 >

この作品をシェア

pagetop