稲光家に溺愛される令嬢〜稲光らい様は彼女に夢中〜
「何者なの? これ、全部君のしたことなの?」

「佐藤せりお」
 女子グループの一人がそう呟いた。

「佐藤せりおは、いるの?」

「佐藤せりおは、この白薔薇学園にいるって聞いて入学しようとしたら落ちて」

「何の話をしているの?」
 言っているごとが支離滅裂すぎだし、
 あまりにも唐突すぎる。

 だけど、頭の中を整理している余裕はなさそうだった。

「佐藤せりおは、どこ!? でないと、殺すから」

 包丁が何度も、
 投げ出され、
 私はそれらを全部、
 右にかわしたり、
 左にかわしたり、
 下にかかんだりして、
 避けた。  

このタイミングで、救急車が来た。

 しかし、女子グループは救急車が到着するなり、
 今度は救急車に向かって次々と包丁を投げつけた。

 私はとっさに飛び出し、
 飛んでくる包丁を一本ずつ空中で受け止める。

 そのおかげで、
 包丁が救急車に当たることはなかった。

 そこで私は、ふと思った。

 ――救急車は呼んだけれど、警察にも通報しておけばよかった。

 そんな考えが頭をよぎった。

 救急車が到着し、
 救急隊員が車から降りてきた。

 その瞬間、
 一人の女子生徒が救急隊員に向かって包丁を投げつけた。

 私はとっさに前へ踏み出し、
 飛んできた包丁を空中で受け止める。

 救急隊員は突然の出来事に顔を真っ青にし、
 その場に立ち尽くしていた。
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