最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
私は廊下を歩きながら、こっそり胸を撫で下ろした。

正直に言うと、一時は本当にどうなることかと思っていた。

学園トップ4というだけで、絶対に近寄りがたい人だと思っていた。

実際、最初は怖かった。

声は低いし。

目つきは鋭いし。

何を考えているのか分からないし。

でも―――

「……」

私はふっと足を止めた。

そのままさっきのことを思い出す。

九条くんは、分からない問題を前にして悔しそうな顔をしていた。

あれはきっと、できないことが嫌なんじゃない。

できない自分を見られることが嫌なんだ。

「……すごい人も大変だなぁ」

ぽつりと呟く。

私には、九条家のことなんて分からない。

御曹司として生きることが、どんなものなのかも。

でも....期待され続けるのは、きっと苦しいはずだ。

……なんて。

偉そうなことを考えてしまった。

私は自分のことだって、ろくに分かっていないのに。

頭をぶんぶんと振って、私は校舎を後にした。

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