最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
一瞬、耳を疑った。

「え?」

「あ?」

「いえ……」

素直に返事をするとは思っていなかった。

歯切れの悪い私に、九条くんは不機嫌そうな顔をする。

「なんだよ」

「その....ちゃんと聞いてくれるんだなって」

「……」

「すみません」

「お前、たまに失礼だな」

そう言いながらも、九条くんの口元はほんの少しだけ緩んでいた。

この時の私は知らなかった。

九条くんが、誰かに期待されるより、

誰かに「ちゃんと見てもらえる」ことを求めていたなんて。

礼をして教室を出ると、廊下には夕方の光が差し込んでいた。

窓から見える空は、オレンジ色に染まっている。

……終わった。

無事に終わった。

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